なぜ潮が満ち引きするのか
海の水を引っぱっているのは主に月の引力です。引潮力は距離の二乗ではなく三乗に反比例して弱まるため、地球の月に面した側と、その反対側の両方で海水がふくらみます。太陽も同じはたらきをしますが、その力は月のおよそ半分(約0.46倍)。地球が自転するなかをこのふくらみが回ることで、私たちの足元では潮が満ちたり引いたりします。

神奈川県鎌倉市 ── 相模湾
由比ヶ浜と七里ヶ浜を分けて海へ張り出す、鎌倉のはずれの岬。
晴れた日には江の島の左奥に富士が浮かび、日が落ちるころ、 相模湾は端から端まで金色になります。
評価と評価数は Google マップ(Google Maps)のユーザー評価を同期したものです · 2026年10月19日 · Google マップで全評価を見る↗
SCROLL稲村ヶ崎(稲村崎)は、鎌倉で江の島と富士山を望む岬です。鎌倉市の案内では江ノ電・稲村ガ崎駅から徒歩約5分。夕景なら、訪問日の日の入りより30〜40分前に展望広場へ着く計画が目安です。富士山や夕日が見えるかは雲と空気の状態によります。
公園の Google マップ表示は24時間(2026年10月19日確認)。夜間や海が荒れる日は現地の規制を優先してください。
About the cape
鎌倉の市街を抜けて江ノ電で西へ十分ほど。由比ヶ浜と七里ヶ浜、二つの海岸のあいだに割って入るように、緑をのせた岩の塊が相模湾へせり出しています。これが稲村ヶ崎です。高さはわずかなものですが、海に向かってひな壇状に開けているため、視界をさえぎるものがほとんどありません。
稲村ヶ崎(Cape Inamuragasaki)は、神奈川県鎌倉市の海側、由比ヶ浜と七里ヶ浜のあいだに突き出す岬です。 当サイトのドメイン inamuragasaki.com が指すのもこの岬で、 地元では「稲村ヶ崎」、英語では Cape Inamuragasaki として知られています。
正面には相模湾がひらけ、右手に江の島、その左奥に富士山。空気の澄んだ日には伊豆半島から大島までが水平線に並びます。 「かながわの景勝50選」「関東の富士見百景」に選ばれているのは、この一枚の風景がまるごと収まるからです。
「稲村」とは、刈り取った稲を積み上げた稲叢(いなむら)のこと。西へせり出す岬の丸みを、 その稲叢に見立てたとするのが、地名の由来として古くから語られてきた説です。 いまも岬の地形は、波を正面から受ける位置にあります。
岬そのものは、鎌倉市の都市公園「鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区」(面積約2.1ha)として整備されています。 松の立つ芝生広場と展望台があり、入園料はかからず、時間の制限もありません。 公園内には、明治43年(1910年)に沖で起きた逗子開成中学校ボート部の遭難事故を悼む慰霊碑と、 結核菌・コレラ菌の発見で知られる医師ローベルト・コッホの記念碑が並んで立っています。
そして足元の岩には、もうひとつの顔があります。昭和9年(1934年)、 この岬は「稲村ヶ崎(新田義貞徒渉伝説地)」として国の史跡に指定されました。 景色を見にきた人が、いつのまにか七百年前の話に足をとられる。それがこの場所の面白さです。



Legend & history
元弘3年/正慶2年(1333年)、鎌倉幕府を攻めた新田義貞は、切り立つ崖と波に阻まれてこの岬を越えられずにいました。『太平記』はその夜のことをこう伝えます──義貞は稲村ヶ崎の波打ち際に下り、黄金の太刀を海へ投じて龍神に祈った。すると潮は大きく引き、干潟となった岸を軍勢が駆け抜け、鎌倉は落ちた。


奈良時代
『万葉集』には、この一帯が「見越しの崎」の名で詠まれています。良質の砂鉄が採れる浜として知られ、古代にはここで製鉄が行われていたとも考えられています。
鎌倉時代
三方を山に囲まれた鎌倉は、海と陸の口が限られた土地でした。由比ヶ浜と七里ヶ浜を分けるこの岬はその西の境にあたり、陸路で西から鎌倉へ迫る勢力にとって越えるべき一線でもありました。岬の地形そのものが、この町の守りの一部だったというわけです。
1333年
鎌倉攻めの折、義貞が太刀を投じて龍神に祈ると潮が引いたと『太平記』は記します。史実としては干潮の時機を捉えた進軍と見る説が有力で、天文計算からは日付の記述に誤りがあることも指摘されています。それでも、太刀と潮の物語はこの岬の名とともに語り継がれてきました。
江戸〜明治
太刀を海へ投じる場面は絵になる主題として好まれ、歌川広重や月岡芳年をはじめ多くの絵師が繰り返し描きました。左に並べた二枚もそのうちの作です。岬の名は、風景としてよりも先に、この一場面として広まっていきました。
幕末
相模湾を一望できる地形は軍事的にも要となり、幕末には異国船を監視する台場が置かれました。第二次世界大戦中には、岬の岩に地下基地が掘られています。突端の崖に残る横穴は、その時代の痕跡と伝わります。
1910年
逗子開成中学校の生徒ら12名を乗せたボートが沖で転覆し、全員が亡くなりました。追悼のために作られた歌「真白き富士の根」は広く歌われ、公園には遭難者を悼む慰霊碑が今も立っています。
1934年
「稲村ヶ崎(新田義貞徒渉伝説地)」として国の史跡に指定。景勝地であると同時に、日本史の一場面が刻まれた土地として保存されることになりました。
昭和初期
結核菌の研究で知られるドイツの医学者ローベルト・コッホを記念する碑が、園内に立てられました。海と歴史の碑が並ぶなかではやや異色ですが、療養の地としての鎌倉という一面を今に伝えています。建立の経緯は現地の案内板に譲ります。
1990年
この岬の名を冠した映画が公開され、湘南のサーフカルチャーを象徴する地名として広く知られるようになりました。岬の両側は今もサーフィンの名所です。
Photographs
夕景、富士、波、江ノ電。同じ岬とは思えないほど、時刻と季節で表情が変わります。
写真をタップすると拡大表示します。掲載写真はすべてウィキメディア・コモンズで公開されている実写で、 撮影者と利用条件はページ末尾のクレジットにまとめています。
Best time & duration
この岬でいちばん大事なのは、行く時刻です。同じ場所に立っても、昼と日没前とではまったく別の風景になります。
日没の40分前〜30分後
太陽が水平線に近づくと海全体が金色に変わり、沈んだあとの20〜30分は空が紫から茜へ移ります。日没時刻は季節で大きく動くので、訪問日の日の入りを調べてから逆算してください。
早朝(日の出〜7時ごろ)
人が少なく、風もおだやかな時間帯。冬の朝は富士山がくっきり見えることが多く、海に向かうサーファーの姿も絵になります。
11月〜3月
空気が乾いて澄む季節。北風の吹いた翌日はとくに遠望がききます。逆に夏は湿気で霞み、富士が見える日は限られます。
6月中旬
園内のあじさいが見ごろを迎えます。鎌倉の寺々が混み合う時期でもあるので、海側に抜けて息をつくにはちょうどいい場所です。

Weather & forecast
岬は海に突き出した場所なので、同じ鎌倉でも内陸より風が強く、体感温度が下がります。ここでは予報の数値だけでなく、その日の「装い・予定の組み方・持ちもの」を予報から組み立てて提示します。条件に合う項目だけを出すため、日によって出てくる内容が変わります。
最新の予報を取得しています。取得できない場合は、出発前に公式の気象情報をご確認ください。
予報から組み立てた提案 ・ 条件に合う項目だけ表示
暴風・波浪・高潮・大雨などの警報・注意報はこの予報からは判定できません。 海や岩場へ近づく予定がある日は、出発前に公式の発表をご確認ください。
気象警報・注意報最高/最低気温・降水確率・風の目安
予報はページを開いた時点で取得し、約10分ごとに更新します。古い値や欠けたデータは表示しません。提案はその予報から自動で組み立てた一般的な目安であり、行程を保証するものではありません。 海沿いは内陸より風が強く、気温表示より体感が低くなります。波の高さと海水温は、この海域で予測値を安定して取得できないため表示していません(海で遊ぶ予定がある日は、公式の海象情報もご確認ください)。
Tides & moon
この岬の海岸は、時刻ではなく潮で姿を変えます。月齢と月の南中から今日の潮まわりを求め、あわせて満潮・干潮の目安と、海へ下りる前に知っておきたいことをまとめました。
月齢と月の南中から見た目安
中潮
寝待月ごろ ・ 月齢 16.6
誤差を見て時刻は1時間単位で表示
潮は毎日およそ50分ずつ遅れます。前日と同じ時刻でも海の高さは違うため、 前後の予定と合わせて確認してください。
潮名・月齢・月の南中時刻
潮名は月齢にもとづく便宜的な区分です。大潮は月・地球・太陽がほぼ一直線に並ぶ 新月と満月の前後、小潮は上弦・下弦の前後にあたります。
正確な時刻と潮位は公式の潮汐表で。このページの満潮・干潮は天体の位置から求めた推算値です。海へ下りる予定がある日は、 出発前に必ず潮汐表で確認してください。
気象庁 潮汐表稲村ヶ崎の海は、一日に二度ゆっくりと姿を変えます。満潮と干潮の潮位差は湘南の海でおおむね1m前後。大潮のときに大きく、小潮のときはその半分以下になることもあります。岩場がどこまで現れるか、波がどこまで寄せるかは、時計の時刻ではなく潮まわりで決まります。
ここで示す月齢や月の南中時刻は天体の運行から計算した確かな値ですが、満潮・干潮の時刻はそこからの推算です。実際の潮は湾の形や水深、その日の気象で動くため、出かける前に必ず公式の潮汐表で確認してください。
海の水を引っぱっているのは主に月の引力です。引潮力は距離の二乗ではなく三乗に反比例して弱まるため、地球の月に面した側と、その反対側の両方で海水がふくらみます。太陽も同じはたらきをしますが、その力は月のおよそ半分(約0.46倍)。地球が自転するなかをこのふくらみが回ることで、私たちの足元では潮が満ちたり引いたりします。
地球は24時間で一回転しますが、そのあいだに月も少し先へ進みます。月がふたたび同じ高さに戻るまで24時間50分(太陰日)かかるため、満潮はおよそ12時間25分ごとに巡り、日ごとに約50分ずつ遅れていきます。つまり「昨日の同じ時刻」と「今日の同じ時刻」では、海の高さがまるで違うということです。
新月と満月のころは月と太陽がほぼ一直線に並び、ふたつの引潮力が足し合わさって潮位差が最大になります(大潮)。上弦・下弦のころは直角に並んで打ち消し合い、潮位差は最小になります(小潮)。この大潮→小潮→大潮の周期は約14.8日。さらに月が地球に近い(近地点の)ときは潮位差が大きくなります。
潮は湾の形・水深・海岸線の向きで増幅されたり遅れたりします。相模湾は外洋に向かって開いた湾で、奥の深い湾に比べると潮位差はおだやかな部類です。それでも低気圧が近づいた日や強い風が吹き続いた日には潮位が数十cm動き、いわゆる高潮になることがあります。「潮位差」と「波の高さ」は別の現象ですが、重なると足元の条件は一気に厳しくなります。
岬の東西に広がる岩礁が水から出て、潮だまり(タイドプール)をのぞける時間です。小さなカニや貝、海藻の観察には最適で、岩のあいだに残った水はそれ自体がひとつの生き物の居場所になっています。ただし干潮は「戻りはじめる」時刻でもあります。下りる前に、次に満潮へ向かう時刻を確かめておくことが何より大切です。
波打ち際が高い位置まで上がり、干潮時に歩けた岩場は水の下に沈みます。展望広場からの眺めは潮位が高いほうが海の面積が広く、迫力が出ます。波が高い日は、柵の内側で眺めるだけで十分です。満潮前後の海岸は「逃げ場」が狭くなることを覚えておいてください。
干潮前後は岩と潮だまりが手前の主題になり、夕景に奥行きが出ます。満潮前後は海面が広がるぶん、空の色と水面の反射が主役になります。富士山や江の島を絡めるなら、潮の高い夕景のほうが空と海のつながりがきれいに出ます。どちらを撮りたいかで、到着時刻を日没から逆算してみてください。
大潮は潮位差と潮流が大きく、海の中の条件が動くぶん期待もできますが、足場の条件も同じように変わります。小潮は動きが小さく、読みが効きにくいぶん慎重さが要ります。どちらの日も、滑りにくい靴とライフジャケットが前提です。釣り人・磯遊びの人と散策客が同じ岩場を使うため、互いの距離にも気を配りたいところです。
潮そのものはゆっくりした現象ですが、足場と波という条件が重なると、 海辺でもっとも事故が起きやすい要因になります。見ておきたい点をまとめました。
※月齢・月の南中時刻は天体の運行から計算した値です。満潮・干潮の時刻は「月の南中からおおむね1時間後」という経験則と半日週期(12時間25分)から組み立てた推算であり、実際の潮汐とは1〜2時間以上ずれることがあります。※正確な時刻と潮位は、気象庁が公表する潮汐表(主要港湾)でご確認ください。観測点と岬の海岸でも、地形の違いによって差が出ます。
Seasonal planning & routes
いつ来るか、誰と来るかで、この岬の安全な回り方は変わります。季節ごとの戦略、同行者別の組み立て、そして半日・一日のモデルコースをまとめました。
気象(気温・風・空の透明度)、海の状態、そしてその季節に見られる生き物を あわせて判断した季節別の戦略です。気温は気象庁が公表する平年値 (1991〜2020年の平均、湘南地域)にもとづく目安で、その年の天候を保証するものではありません。
| 季節 | 気温の目安 | 空と海 | 自然の話題 | 混雑 | 服装・持ち物 | 狙い目 |
|---|---|---|---|---|---|---|
春 3月〜5月 ★★★★☆ | 月平均 9〜19℃前後。朝晩は冷え、日中は過ごしやすい | 春先は北風の翌日に富士がくっきり見える日が残ります。4月以降は霞が増え、遠望はやや不利。海は穏やかな日と、低気圧通過後のうねりが残る日が混ざります。 | ウグイスやシジュウカラの声が増え、岬の松と芝生がいちばん青い季節。5月には海岸のハマヒルガオが咲き始め、干潮の岩場では小さなカニや巻き貝が見られます。6月にかけて園内のあじさいが見ごろに。 | 大型連休と6月のあじさい期は混み合います。連休を外した平日は比較的ゆっくりできます。 | 風を通しにくい上着一枚。日差しは徐々に強くなるので帽子と日焼け止めがあると快適です。 | 午前の澄んだ時間帯、あるいは3月の日没前(16時台後半〜17時台)。連休を外せば静かに過ごせます。 |
夏 6月中旬〜8月 ★★★☆☆ | 月平均 22〜27℃前後。湿度が高く、日中の照り返しが強い | 蒸し暑く霞みやすいため、富士の遠望は年間でもっとも厳しい季節。夕立と雷、台風の接近が多く、うねりが強まる日もあります。一方、夕焼けは雲が多くなるぶん色が出やすい日があります。 | 七里ヶ浜側の砂浜には、刺激を受けると青く光る微小な生き物(ウミホタル)が生息し、夏の夜の風物詩とされています。波打ち際ではイソガニ類、沖ではサーファーと海鳥の姿が絶えません。 | 海開き以降の週末は、道路・駐車場・江ノ電のいずれも年間で最も混みます。 | 飲み物(多め)、帽子、日焼け止め、虫よけ。熱中症対策として日中の長居は避け、朝夕に寄せるのが賢明です。 | 早朝(5時台〜7時)か、日没1時間前から。日中の岬は日陰が少なく厳しいので、朝夕に寄せるのが正解です。 |
秋 9月〜11月 ★★★★★ | 月平均 18〜24℃。9月はまだ暑く、11月は朝夕が冷える | 台風シーズンでもあり、9月は海が荒れる日があります。10月以降は空気が乾いて透明度が上がり、遠望が戻ってきます。11月はこの岬の本領が出る季節です。 | 渡りの時期には海岸沿いを鳥が通過し、岬の松には小鳥が集まります。秋の夕空は赤みが強く、日没後のトワイライトが長く残ります。 | 紅葉期の週末は鎌倉市街が非常に混みますが、海側まで足を延ばす人は少なく、岬は比較的落ち着いています。 | 羽織れる一枚。日没後は急に冷えるため、冬に近づくほど一枚多めに。 | 11月の日没40分前〜日没後30分。遠望と夕景の両方が狙える、年間を通じての最盛期です。 |
冬 12月〜2月 ★★★★☆ | 月平均 5〜10℃前後。晴天の日中は暖かくても、海風で体感は大きく下がる | 空気が乾き、年間でもっとも富士山がはっきり見える季節。北風が強まり、海は白波の立つ日が増えます。日の入りが16時半〜17時と早く、行動時間が短いのが難点です。 | カモメ類など冬を過ごす海鳥が増え、荒れた日には波しぶきが岬の岩を洗います。冬晴れの朝は、江の島の左奥に富士がくっきり浮かびます。 | 年間でもっとも空いています。年末年始と初詣の時期は鎌倉市街が混みますが、岬自体は静かです。 | 風を防ぐ上着、手袋、帽子。海沿いでは気温より体感温度が5℃前後低く感じられます。 | 冬晴れの午前中(富士の遠望)と、早い時刻の日没。16時台には西日が低くなり、海面が金色に変わります。 |
同じ岬でも、同行者の構成によって安全に動ける範囲は変わります。 行程の組み方を、親子連れ・写真と自然観察・低体力の三つに分けてまとめました。
30〜40分(+ベンチでの休憩)
安全第一で、展望広場と芝生広場を往復する30〜40分コース
1時間〜1時間半(日没前後)
日没から逆算し、干潮と潮位、風向きまで読む撮影コース
20〜30分
階段を避け、平坦なアプローチから海を眺める20〜30分コース
時刻は一例です。日没の時刻は季節で大きく動くため、訪問日の日没から逆算して 組み替えてください。
約3時間(午後の部) / 鎌倉駅から江ノ電で出発
日没時刻は季節で2時間近く動きます。上の時刻は一例として、訪問日の日没から逆算して組み替えてください。
約7〜8時間 / 鎌倉駅
江ノ電は単線で行き違いに時間がかかり、観光期の日中はホームに入るまで待つこともあります。乗り遅れ前提で余裕を持たせてください。
Access & location
最寄りは江ノ島電鉄の稲村ヶ崎駅。改札を出て海へ向かって下れば、五分ほどで岬の入口に着きます。
電車
駅から岬の公園まで徒歩約5分。 駅を出て線路沿いに西へ進み、国道134号を渡ります。海が見えたらすぐそこです。
※運賃・所要時間は目安です。江ノ電は単線で行き違いに時間がかかることがあり、 観光期の日中はホームに入るまで待つこともあります。
バス・徒歩
国道134号を走る路線バスが海岸沿いに通っており、稲村ヶ崎周辺にも停留所があります。 江ノ電が混み合う時期は、バスのほうが座れることもあります。
車
岬は国道134号に面しており、湘南の海岸線をそのまま走ってたどり着けます。 ただし週末・連休・夏季は134号自体が渋滞し、駐車場も早い時間に埋まります。とくに夕景の時間帯は電車のほうが確実です。
どこから来るかで、かかる時間も確実さも変わります。空港からの乗り継ぎ、 公共交通での経路、タクシーや車を使う場合まで、手段ごとにまとめました。
| 手段 | 出発地 | 道順 | 所要 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 空港→鉄道 | 羽田空港から | 京急線で横浜駅へ出てJR横須賀線に乗り換えて鎌倉駅、または空港から運行されている空港連絡バスで鎌倉駅周辺へ。鎌倉駅で江ノ島電鉄に乗り換え、稲村ヶ崎駅下車、徒歩約5分。 荷物が多いときは、鎌倉駅のコインロッカーに預けてから江ノ電に乗ると身軽に動けます。空港連絡バスは道路事情で大きく遅れる日があるため、日没時刻が決まっている行程では鉄道を軸に組むのが安全です。 | 約1時間〜1時間30分 | 1,300〜2,000円前後(乗換え・経路により変動) |
| 空港→鉄道 | 成田空港から | 成田エクスプレスまたは京成線で横浜駅・大船駅方面へ。大船駅ならJR横須賀線で鎌倉駅は一駅、そこから江ノ電で稲村ヶ崎へ。 成田からの直通列車は本数が限られます。乗り遅れを前提に、大船駅経由の経路を第二候補として覚えておくと安心です。 | 約1時間40分〜2時間20分 | 2,500〜3,500円前後 |
| 公共交通 | 東京・新宿方面から | JR横須賀線・湘南新宿ラインで鎌倉駅へ(東京駅から約1時間、新宿駅から約1時間)。鎌倉駅で江ノ電に乗り換えて約10〜11分。 遠方からの日帰りなら「午前に鎌倉の寺社、夕方に岬」という順番が組みやすく、日没に合わせて動けます。 | 約1時間〜1時間20分 | 片道 1,000〜1,500円前後+江ノ電 220円 |
| 公共交通 | 横浜・大船・藤沢方面から | JR横須賀線で鎌倉駅(横浜から約25分、大船から約4分)、または藤沢駅から江ノ電でそのまま稲村ヶ崎へ(約22分)。 藤沢側から江ノ電で来ると、進行方向右側の窓から七里ヶ浜の海が開けます。江ノ島と岬を一日で回るなら藤沢起点が合理的です。 | 横浜から約40分/藤沢から約25分 | 400〜700円前後 |
| 公共交通 | 路線バス | 国道134号を走る路線バスが海岸沿いに通り、稲村ヶ崎周辺にも停留所があります。鎌倉駅・藤沢駅の両側から海岸線経由でアクセスできます。 江ノ電が混み合う季節は、バスのほうが座れることがあります。ただし134号の渋滞に巻き込まれると所要時間が読めなくなるため、日没に合わせる行程には不向きです。 | 区間により20〜40分 | 200〜400円前後 |
| タクシー | 鎌倉駅・藤沢駅から | 鎌倉駅から国道134号経由で約10分(約3km)、藤沢駅からは約20分。岬の入口または公営駐車場脇で降りると展望広場まで近いです。 稲村ヶ崎駅前に常駐する車両は多くありません。配車アプリを使うか、鎌倉駅・藤沢駅の乗り場から利用するほうが確実です。帰りも同様に、岬で流しの車を待つより事前配車が現実的です。 | 鎌倉駅から約10分/藤沢駅から約20分 | 鎌倉駅から1,500〜2,000円前後、藤沢駅から3,000円前後 |
| 自家用車 | 高速道路から | 横浜横須賀道路・朝比奈ICから約30〜40分。西湘バイパス経由で江ノ島方面から国道134号を東へ。カーナビには住所(鎌倉市稲村ガ崎2-6-19)か Plus Code(8G2G+P5 鎌倉市)を入力します。 夏季の週末は134号そのものが渋滞し、駐車場も午前のうちに埋まります。夕景が目的なら電車に切り替える判断が賢明です。路上駐車は住宅地の生活道路をふさぐため厳に避けてください。 | 季節・時間帯で大きく変動 | 高速料金+駐車料金 400〜500円/時 |
| レンタサイクル・自転車 | 鎌倉駅周辺から | 鎌倉駅周辺の貸自転車で、由比ヶ浜〜稲村ヶ崎〜七里ヶ浜と海岸線をなぞる約4km。平坦ですが交通量の多い134号を走る区間があります。 岬の周囲は坂と階段が多く、自転車は園内に乗り入れできません。駅周辺の駐輪場(有料・無料の両方あり)に置いて歩く前提で計画してください。夜間の無灯火走行は取り締まりの対象です。 | 鎌倉駅から約20〜25分 | 貸出料は1日1,000〜2,000円前後 |
| 徒歩 | 周辺の街から | 七里ヶ浜から海沿いの歩道を東へ徒歩15〜20分、極楽寺から坂を下って約15分、長谷からは30〜40分。江ノ電の線路沿いは車両との距離が近い区間があります。 海岸沿いは風が強く、日差しを遮るものがほとんどありません。帽子と飲み物を用意し、波の高い日は護岸側の歩道を選んでください。 | 15〜40分 | 無料 |
JR か私鉄で鎌倉駅まで出て、江ノ電に乗り換える経路が、渋滞の影響を受けずに日没時刻へ合わせられます。 遠方からは空港連絡バスより鉄道主体のほうが遅れを読みやすい傾向があります。
夏季の週末は国道134号そのものが動かなくなる時間帯があります。 車は「早朝に着いて、混み始める前に引き上げる」使い方と相性がよく、夕景狙いの滞在には不向きです。
日没後は一気に人が動き、江ノ電は鎌倉・藤沢の両方向とも混みます。 最終の時間帯を先に確認し、明るさの残るうちに駅へ向かう余裕を持たせてください。
※所要時間・費用は一般的な経路にもとづく目安であり、季節・道路状況・運行状況で変わります。 運賃・時刻・運行本数は各事業者の公式発表が正式な情報です。
2026年10月19日確認。神奈川県道路公社の現行案内では最大料金は6時間ごとに繰り返します。稲村ガ崎パーク&レールライドは発売休止中です。料金・条件は出発前にもご確認ください。
西へ進めば七里ヶ浜海岸駐車場、東へ戻れば坂ノ下駐車場があります。 稲村が崎駐車場が満車のときは、そちらから歩くという手も。
休日や日没前は混雑することがあります。満車の場合は周辺を走り回らず、電車への切り替えも検討してください。

岬に立つこと自体には、一円もかかりません。費用が発生するのは、たどり着くための交通と駐車だけです。
| 項目 | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 入園料・拝観料 | 無料 | 稲村ヶ崎公園(鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区)。24時間・年中無休 |
| 展望広場 | 無料 | 予約や受付は不要 |
| 江ノ電(鎌倉駅から) | 220円 | 片道。稲村ヶ崎駅まで約10〜11分 |
| 江ノ電(藤沢駅から) | 310円 | 片道。約22分 |
| 江ノ電1日乗車券「のりおりくん」 | 有料 | 沿線を何度も乗り降りするなら割安。金額は江ノ電の案内を参照 |
| 稲村が崎駐車場 | 400〜500円/時 | 7〜8月は500円/時。最大料金は6時間 1,500〜2,000円 |
※運賃・駐車料金は改定されることがあります。訪問前に各事業者の公式情報をご確認ください。
稲村ヶ崎(Cape Inamuragasaki)は神奈川県鎌倉市稲村ガ崎2丁目、北緯 35.3018356/東経 139.5254019。江ノ電 稲村ヶ崎駅から海へ向かって徒歩約5分、七里ヶ浜と江の島のあいだにあたります。
Visitor services & facilities
トイレ、駐車場、飲食、宿泊、買い物、給油・充電。岬に立つ前に分かっていると安心な設備を、立地の傾向とあわせて種類ごとに整理しました。
本サイトは非営利の解説サイトです。ここでは特定の店舗や事業者を紹介・推奨せず、施設の「種類」と「ある範囲」だけを中立的にまとめています。実際に利用する施設は、現地の案内や各事業者の公式情報でご確認ください。
稲村ヶ崎公園(鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区)の園内に公衆トイレがあります。
数は多くありません。海水浴シーズンや日没前後は混み合うため、駅周辺の施設を先に済ませておくと安心です。多目的トイレの有無・位置は現地の案内表示で確認してください。
岬の西側に公営の時間貸し駐車場(普通車約50台規模)があります。ほかに国道134号沿いや七里ヶ浜側、鎌倉市営の海浜公園駐車場、民間のコインパーキングが点在します。
台数が少なく、休日の日中と日没1時間前からは満車になりやすい立地です。夕景が目的なら鉄道のほうが確実です。詳細は「稲村ヶ崎への行き方」の駐車場の項を参照。
園内に売店・食堂・カフェはありません。稲村ヶ崎駅の周辺、国道134号沿い、隣の七里ヶ浜側に、干物料理・海鮮系の食堂、カフェ、ベーカリー、テイクアウト専門店などの種類がそろっています。
海に面した席を持つ店が多い一方、小規模な店では現金のみ・営業時間が天候次第ということもあります。自動販売機は園内にありますが、品切れ時は駅側が確実です。
岬の周囲は第一種低層住居専用地域にあたる静かな住宅地で、宿泊施設はほとんどありません。宿を取るなら、鎌倉駅周辺(旅館・小規模ホテル・ゲストハウス)、由比ヶ浜・材木座(民宿・貸別荘)、藤沢・江の島側(シティホテル・ビジネスホテル)のいずれかが選択肢になります。
夕景まで滞在するなら、鎌倉駅周辺に泊まれば江ノ電で10分強、鎌倉の寺社巡りと岬を一日で両立できます。夏季と紅葉期は早めの予約が必要です。
稲村ヶ崎駅の周辺と国道134号沿いにコンビニエンスストアがあります。食料品・日用品をまとめて買うなら鎌倉駅周辺、または藤沢側のスーパー・ドラッグストアが品揃えの面で安定します。
岬から最短のコンビニまで徒歩5〜10分程度。日没後に閉まる店もあるため、飲み物は先に確保しておくと落ち着いて過ごせます。
国道134号沿いと鎌倉市内に給油所があります。EVの急速充電は、鎌倉市・藤沢市内の道沿いの商業施設やカーディーラー系の充電スポットに分散しています。
岬のごく近くには給油所も充電設備もありません。海岸線は渋滞で燃費・電費が読みにくいうえ、充電器は台数が少ないため、鎌倉・藤沢の市街地で済ませてから向かうのが現実的です。
薬局とクリニックは鎌倉駅周辺にまとまっています。救急は119番(消防・救急)、夜間・休日の相談窓口は神奈川県の救急医療情報センターが案内しています。
岩場での転倒・打撲がいちばん多い事故です。滑りやすい靴やサンダルでの岩場歩きは避けてください。
芝生広場と展望広場にベンチがあり、松の木立にわずかな日陰があります。
展望広場に屋根はありません。夏の日中は直射を避け、風雨の強い日は無理をしない判断が必要です。
園内に授乳室・おむつ替え台はありません。多目的トイレか、駅周辺・鎌倉駅の公共施設を利用してください。
ベビーカーは園内の一部(平坦な導入部)なら通れますが、上段の展望広場へは階段が中心です。抱っこ紐との併用が現実的です。
岬の園内は海へ向かって段々に下る地形で、上段の展望広場へは階段を使う経路が中心です。駐車場側・国道沿いからは比較的平坦にアプローチできる区間があります。
車椅子・歩行補助具の方は、国道134号側の歩道から海側を眺める、あるいは下段の芝生広場までにとどめる行程が安全です。身障者用の駐車区画が公営駐車場に用意されています。
園内にごみ箱は原則として置かれていません(または数が非常に少ない)。
出したごみは持ち帰るのがこの土地での作法です。漂着ごみが目立つ日もありますが、拾うときは軍手と専用の袋を用意し、岩場には立ち入らないようにしてください。
海沿いでも携帯電話の電波は概ね良好です。公衆無線LANは駅周辺の一部施設に限られ、岬では期待できません。
日没時刻の確認・帰りの乗換検索・明るさの残るうちの撮影に電池を使います。モバイルバッテリーがあると安心です。
稲村ヶ崎は海水浴場ではなく、監視員・シャワー・更衣設備はありません。遊泳設備が整うのは、東の由比ヶ浜・材木座、西の七里ヶ浜など隣接する指定海水浴場です(夏季のみ開設)。
岬の両側の海岸は、遊泳ではなく散策・釣り・サーフィンの場として使われています。泳ぐなら開設期間中の指定海水浴場を利用してください。
公営駐車場は現金のほか交通系ICカードが使えます。個人経営の小規模店では現金のみの場合があります。
江ノ電はIC乗車券がそのまま使えます。千円札と小銭を少し持っておくと、自販機や小さな店で困りません。
※営業時間・料金・設備の有無は季節や天候、運営状況で変わります。とくに給油所・充電設備・多目的トイレは台数が限られるため、事前に確認してからお出かけください。
Food & neighbourhood
稲村ヶ崎は、それだけで半日を使う場所ではありません。江ノ電で数駅、あるいは海沿いを歩いて数十分の範囲に、寄り道の材料がそろっています。
公園のなかに売店やカフェはありません。食事は駅の周辺か、国道134号沿い、 隣の七里ヶ浜側で。海を見ながら食べられる店が多いのがこの一帯の贅沢です。 非営利の解説サイトとして、ここでは特定の店名を挙げず、種類と立地の傾向だけをまとめています。
干物定食・和朝食
稲村ヶ崎駅から徒歩3分圏
地元の干物店から届く干物の定食が主力で、朝から営業している店が多い一帯です。窓の外を江ノ電が通り、待っている時間も景色になります。朝7時台から開いている店もありますが、営業時間は店ごとに大きく異なります。
カフェ・軽食
稲村ヶ崎駅のすぐ周辺
江ノ電の線路に面した小規模なカフェが数軒あります。散策の前に地図を広げるにも、岬から戻って一息つくにも都合のいい距離です。席数が少ない店が多く、週末は待つことがあります。
洋菓子・焼き菓子
稲村ヶ崎の住宅地側(駅から坂を上がる)
住宅地の坂を上がった先に、小さな菓子店が点在します。買って公園のベンチで海を見ながら、という使い方がいちばん似合う種類の店です。
オールデイダイニング
七里ヶ浜駅周辺の海側
海へ向いた商業施設の上層階に、テラス席を持つ大型店があります。水平線を見渡せる席が魅力ですが、観光期は待ち時間が長くなりがちです。
カレー・洋食
七里ヶ浜(国道134号沿い)
鎌倉はカレーの店が多い土地柄で、海を向いたテラス席を持つ店も少なくありません。夕景の時間帯に岬と組み合わせやすい立地です。
シーサイド各種
稲村ヶ崎〜七里ヶ浜の国道134号沿い
岬から七里ヶ浜方面へ歩くと、海を向いた食堂、ベーカリー、テイクアウト専門の店が続きます。営業時間は季節や天候で変わりやすく、小規模な店では現金のみの場合もあります。
※営業時間・定休日は季節や天候で変わることがあります。訪問前に各店の最新情報をご確認ください。
稲村ヶ崎を訪れるなら、周辺の七里ヶ浜や江の島もあわせて巡れます。岬から続く海岸線と、江ノ電で数駅の寺社が一続きの散策路になっています。
稲村ヶ崎と江の島のあいだに約2.9km続く砂浜。振り返ると岬の断崖、正面には江の島と富士山という、湘南を代表する眺めが並びます。
稲村ヶ崎の東どなり、極楽寺坂の谷あいにある古刹。茅葺きの山門と、参道の階段から海が覗く成就院は、岬の眺望とは対照的な静けさです。
境内のすぐ脇を江ノ電が横切る神社。鳥居と踏切が並ぶ光景が知られています。
海側の鎌倉を代表する二大名所。稲村ヶ崎から江ノ電で10分足らずで、午前に寺社、夕方に岬という組み立てがしやすい距離です。
線路の向こうに海と江の島が広がる踏切。人気の撮影地ですが生活道路でもあるため、通行や近隣への配慮が必要です。
稲村ヶ崎から西に望むあの島へ、そのまま渡れます。夕景を岬で見て、翌日に島へというコース取りも定番です。
稲村ヶ崎が分ける二つの海岸のうち東側。遠浅でおだやかな砂浜が鎌倉の中心部まで続きます。


Geology, sea & stewardship
景色として見るだけでなく、なぜこの岬がここにあるのかを知ると、同じ海が少し違って見えます。海底の地層、相模湾の海、そして岩場の生き物。最後に、この場所を保つための作法をまとめました。
稲村ヶ崎の崖は、固い岩の塊がそのまま海へ突き出したものではありません。海底で少しずつ積もった地層が、のちに陸となり、波に削られて今の形になりました。
この一帯を構成するのは、新第三紀(およそ2,300万〜260万年前)に海底で堆積した砂岩・泥岩・火山灰由来の凝灰岩が互いに重なった地層です。三浦半島から鎌倉にかけて広く分布する層で、海の中でできる「しま模様」や級化(下から上へ粒が細かくなる堆積の構造)が、崖の断面に観察されることがあります。
堆積した地層は、プレート境界の動きによる隆起と、氷期・間氷期の海面変動を経て海面上に現れました。1923年の関東地震では、相模湾北岸の広い範囲で海岸が隆起したことが測量記録に残されており、この岬の周辺もその影響を受けています。
そして現在の崖のかたちを作っているのは波です。相模湾の波は岬の付け根を両側から削り、海食崖と呼ばれる急斜面を維持しています。崖の下に崩れ落ちた岩塊が波に洗われている場所は、いまも削られている最前線です。
現地で確かめる
岬の正面に広がる相模湾は、三方を陸に囲まれた内海ではなく、南へ大きく開いた湾です。そのため、外洋の影響がまっすぐ届きます。
湾の沖合では暖流(黒潮の分流)が流れ込み、夏には水温が上がり、冬でも内陸より穏やかな気温をもたらします。とはいえ湾は南に開いているため、台風や低気圧が近づくと外洋からのうねりがそのまま海岸へ届き、普段はおだやかな日でも高波になることがあります。
潮の干満差は東京湾ほど大きくありませんが、日によって1m以上の差が出ます。干潮時には波打ち際の岩場が広く現れ、満潮時にはその多くが水没します。岩場へ下りる計画を立てるなら、その日の潮位の確認が欠かせません。
砂浜の砂をよく見ると、黒い粒が混じっています。これは砂鉄(磁鉄鉱など)で、この海岸が古くから「砂鉄の浜」として知られた理由です。古代にこの一帯で製鉄が行われていた可能性が、地名とあわせて語られています。
現地で確かめる
海を見に来たついでに目を落とすと、この小さな岬にもいくつもの居場所があることに気づきます。
岩場の潮だまりには、イソガニの仲間や小さな巻き貝(イシダタミ・ウノアシなどの類)、岩に付着する海藻類がいます。干潮の前後に静かにのぞくと動きが分かりますが、生き物を持ち帰ると岩場のバランスは崩れます。観察だけに留めるのが原則です。
砂浜側には、刺激を受けると青く光る微小な生き物(ウミホタル)がすむ場所があります。夜、波打ち際の砂をそっと踏むと光が出ることがあり、湘南の夏を代表する現象として知られています。
岬の上部は松を主体とした樹林と芝生で、ウグイス・シジュウカラ・メジロなどの小鳥が年中見られます。冬はカモメ類が増え、春と秋には渡りの途中の鳥が海岸沿いを通過します。空にはトビが舞い、波打ち際には海鳥が降ります。
海そのものでは、岬の両側がサーフィンの場として知られ、波の質が変わる東側と西側で人が入れ替わります。荒れた日は波が岬の岩を越えるほどになるため、観察は安全な高さから行います。
現地で確かめる
稲村ヶ崎は国の史跡であり、同時に暮らしのすぐ隣にある海岸です。 特別なルールというより、この場所が「残ってきた理由」をそのまま守るための作法です。
岬一帯は「稲村ヶ崎(新田義貞徒渉伝説地)」として国の史跡に指定されています。史跡の土地では、現状を変更する行為(掘削、杭の打ち込み、工作物の設置など)に法的な手続きが必要です。石碑や慰霊碑は記念物そのものであり、文字をなぞったり、よじ登ったりしないでください。
岩・砂・貝殻・海藻は風景の一部であり、そこに暮らす生き物の住処でもあります。砂鉄の粒の一つひとつが海岸を保つ材料です。観察は現地で完結させ、記録は写真に残してください。
園内にごみ箱はほとんどありません。とくに夏の週末は、風で飛ばされやすい容器や袋が海へ流れ出します。漂着ごみを拾うときは軍手を用意し、岩場には立ち入らず、波の届かない高さで作業してください。
岬とその周辺は住宅地に接し、上空は航空機の飛行経路にも近い場所です。無人航空機の飛行には航空法上の許可・承認が必要なケースが多く、公園・道路上空からの離着陸も安全管理上問題になります。空撮は控え、地上からの記録に留めるのが賢明です。
展望広場は限られた面積で、通路をふさぐ三脚の設置は通行の妨げになります。混雑時は三脚を畳み、私有地や階段、住宅地の生活道路での長時間の撮影は避けてください。撮影の可否が不明な場所では、一言ことわってからにしましょう。
この岬の事故は、岩場での滑落と、高波によるものが中心です。波の高い日は波打ち際へ下りず、風雨の強い日は展望を諦めて江ノ電の車窓からの眺めに切り替える判断も含めて計画してください。日没後は足元が見えなくなるため、明るいうちに退避する余裕を持たせます。
稲村ヶ崎は観光地であると同時に、すぐ隣に人が暮らす生活の場です。路上駐車、深夜の騒声、私有地への立ち入りは、この場所を守ってきた人びとの日常を削ります。静かに来て、静かに帰ることがいちばんの貢献です。
※史跡の現状変更に関する手続きは文化財保護法にもとづきます。無人航空機の飛行は航空法・関係条例の規制対象となる場合があります。
Make a keepsake
岬で撮った一枚を、この土地の色で仕立てます。かたちと意匠を選び、銘を入れて保存するだけ。写真もことばも、あなたの端末から出ることはありません。
写真を選ぶと、ここに記念カードが表示されます
一、写真をえらぶ
四、銘を入れる
写真はあなたの端末にだけ保存されます。選んだ画像も入力した文字も、合成したカードも、サーバーへは送信されません。すべてブラウザの中だけで処理しています。
Questions
訪れる前に迷いやすいところをまとめました。
同じ岬を指す表記の揺れで、読みはすべて「いなむらがさき」です。国の史跡としての指定名は「稲村ヶ崎(新田義貞徒渉伝説地)」、公園名は「鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区」、町名は「鎌倉市稲村ガ崎」。そのため「稲村ヶ崎」「稲村ガ崎」「稲村崎」のどの書き方で検索しても、この岬を指します。英語表記は Cape Inamuragasaki(Inamuragasaki, Kamakura, Kanagawa)です。
無料です。岬一帯は鎌倉市の都市公園「鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区」として整備されており、入園料・拝観料はかかりません。原則として年中無休、24時間出入りできます。
空気の澄む晩秋から早春(おおむね11月〜3月)が中心で、とくに北風の強く吹いた翌日の朝夕は見えやすくなります。夏場は湿度が高く霞むため、見える日はぐっと減ります。江の島の左奥に、遠く小さく浮かぶ形で見えるのが稲村ヶ崎からの富士山です。
日没の位置は季節によって変わり、いつも江の島の同じ側に沈むわけではありません。季節によって日没方位も時刻も動くので、訪れる日の日没時刻を調べ、その40分ほど前に着いておくのがおすすめです。日が沈んだ後の20〜30分(トワイライト)に空が最も色づくため、日没=終わりと考えずに残っていた方が良い眺めに出会えます。
日没時刻そのものが季節で動きます。鎌倉では夏至の頃が19時前、冬至の頃が16時半前後で、その中間を季節ごとに移っていきます。狙い目は日没の40分前から、沈んだあとの20〜30分まで。このページの「天気予報」欄では、当日分を取得できたときに日の入りの目安を表示します。雲や地形によって太陽が見えなくなる時刻は異なります。日没方位も季節で変わるため、海面に伸びる光の帯や江の島との位置関係は訪問日ごとに異なります。
展望広場からの眺めだけなら20〜30分。石碑やコッホ碑、慰霊碑を見て海辺まで下りるなら45〜60分。夕景を狙うなら、日没前後で1時間〜1時間半を見ておくと落ち着いて過ごせます。
岬の西側に神奈川県道路公社の「稲村が崎駐車場」(普通車51台、うち身障者用1台)があり、24時間営業です。2026年10月19日確認の公社案内では、7〜8月は1時間500円・6時間ごと最大2,000円、その他の月は1時間400円・6時間ごと最大1,500円です。満車に備えて電車も検討してください。
江ノ島電鉄(江ノ電)の稲村ヶ崎駅が最寄りで、駅から岬の公園まで徒歩約5分です。鎌倉駅からは約10〜11分、藤沢駅からは約22分ほどで着きます。
いずれも江ノ島電鉄(江ノ電)で稲村ヶ崎駅へ。鎌倉駅からは約10〜11分、藤沢駅からは約22分で、駅から岬の公園まで徒歩約5分です。午前に鎌倉駅周辺の寺社を回り、夕景に合わせて海側へ下りるという行程が組みやすく、藤沢・江の島側からも乗り換えなしで来られます。
江ノ電稲村ヶ崎駅から徒歩5分で岬へ。まず上段の展望広場で江の島と富士山の位置を確かめ、石碑・コッホ碑・慰霊碑をたどって海側へ下ります。日没の40分前に展望広場へ戻り、沈んだあとの20〜30分まで残るのが定番の回り方です。前後に極楽寺や長谷寺を組み合わせると、半日から一日の行程になります。
岬の両側は砂浜・岩礁の海岸で、波打ち際まで下りられます。ただし稲村ヶ崎は海水浴場ではなく、監視員のいる遊泳場所ではありません。岩場は滑りやすく、高波の日は打ち上げられる波にも注意が必要です。
公園内にトイレと自動販売機があります。売店やカフェは公園内ではなく、稲村ヶ崎駅の周辺や国道134号沿い、隣の七里ヶ浜側に点在しています。
晴天ほどの遠望は望めませんが、雲の切れ間から光が差す夕方や、荒れた日の波は稲村ヶ崎らしい表情です。展望広場には屋根がないため、風雨の強い日は無理をせず、江ノ電の車窓から海を眺める行程に切り替えるのが賢明です。
公園は海に向かってひな壇状に高低差があり、上段の展望広場へは階段を使う経路が中心です。駐車場側や国道沿いからは平坦にアクセスできる部分もありますが、園内すべてを段差なしで回ることはできません。身障者用の駐車区画は駐車場に1台分あります。
どちらの空港からも鉄道と江ノ電を乗り継いで到達できます。羽田空港からは京急線で横浜駅へ出てJR横須賀線で鎌倉駅、あるいは空港連絡バスで鎌倉方面へ向かい、鎌倉駅から江ノ電で稲村ヶ崎駅へ(約1時間〜1時間30分)。成田空港からは横浜駅・大船駅方面へ出て鎌倉駅経由が一般的で、約1時間40分〜2時間20分が目安です。荷物が多いときは鎌倉駅のコインロッカーを先に使うと動きやすくなります。
鎌倉駅からなら国道134号経由で約10分(1,500〜2,000円前後)、藤沢駅からは約20分(3,000円前後)が目安です。ただし稲村ヶ崎駅前に常駐する車両は多くないため、配車アプリを使うか、鎌倉駅・藤沢駅の乗り場から利用するほうが確実です。帰りも、岬で流しの車を待つより事前配車が現実的です。
岬の周囲は静かな住宅地で、宿泊施設はほとんどありません。宿を取るなら鎌倉駅周辺、由比ヶ浜・材木座、藤沢・江の島側が選択肢になります。コンビニは稲村ヶ崎駅周辺と国道134号沿いにあり、スーパーやドラッグストアは鎌倉駅周辺・藤沢側のほうが品揃えが安定します。
気象庁の潮汐表で対象地点と日付を確認してください。岩の濡れた帯や一時的な水面だけでは、上げ潮・下げ潮や安全な通行時間は判断できません。波浪や気圧でも海面は変わるため、現地の規制と公式の海象情報を優先し、波打ち際へ近づかないでください。
「どこまで」は潮だけで決まりません。波の高さとうねりの周期が同じくらい大切です。干潮でも波が高い日は、打ち上げられる波が岩を越えてきます。濡れた岩は見た目より滑り、転ぶと海へ落ちる距離が短い場所でもあります。散策なら波打ち際より一段高いところまでにとどめ、潮に囲まれる可能性のある場所へは進まないのが無難です。
岬のごく近くには給油所も充電設備もありません。給油所は国道134号沿いと鎌倉市内にあり、EVの急速充電は鎌倉市・藤沢市内の道沿いの商業施設やカーディーラー系のスポットに分散しています。海岸線は渋滞しやすく充電器の台数も限られるため、市街地で済ませてから向かうのが現実的です。
The nearest station is Inamuragasaki Station on the Enoshima Electric Railway (Enoden), about a 5-minute walk from the park. From Kamakura Station it takes about 10–11 minutes, and from Fujisawa Station about 22 minutes. The address is 2 Chome-6-19 Inamuragasaki, Kamakura, Kanagawa 248-0024. Admission is free and the park is open 24 hours.
Ratings & reviews
4.5/5(口コミ 1,124件)。Google マップに寄せられたユーザー評価を 2026年10月27日 に同期したもので、本サイト独自の採点ではありません。
Google マップのユーザー評価
4.5
/ 5 ・ 口コミ 1,124件
歷史地標
この評価は、Google マップに投稿されたユーザーの評価を集計したものです。 本サイトが独自に採点したものではありません。最新の評価・口コミは Google マップのページでご確認ください。
2026年10月19日に Google マップの公開表示(4.5/5・1,116件)を確認。数値は変動します。個別の投稿本文は転載していません。
※評価・口コミ件数は変動します。表記は 2026年10月27日 時点の同期値です。
Sources
掲載内容は以下の公開情報にもとづきます。評価は引用であり、最新の値は各出典先でご確認ください。
Google マップに寄せられたユーザー評価を同期(同期時期 2026年10月27日)。2026年10月19日に Google マップの公開表示(4.5/5・1,116件)を確認。数値は変動します。個別の投稿本文は転載していません。
https://maps.app.goo.gl/W9XhYZYY4ZncQmG9A公園の所在地・展望台・駅から徒歩約5分の案内。24時間の表示は2026年10月19日確認の Google マップによります。
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/koen/p_kaihin.html鎌倉市の公式観光ポータル。イベント・交通・周辺の見どころの最新情報はこちら。
https://www.kamakura.or.jp/駐車場の料金・営業時間・車両制限は公社の案内が正式な情報です。
https://www.kdt-kousha.or.jp/parking-post/parking_inamuragasaki/運賃・時刻・乗車券は公式サイトの案内が正式な情報です。
https://www.enoden.co.jp/満潮・干潮の時刻と潮位の確認に。本ページの潮まわりは月齢と月の南中から求めた推算であり、実測の潮汐ではありません。
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/index.php予報はページを開いた時点で取得し、約10分ごとに更新します。古い値や欠けたデータは表示しません。数値は岬の座標にもとづく地点予測であり、実測値ではありません。天気・気温・風・紫外線・降水確率から「装い・予定・持ちもの」の提案を自動で組み立て、条件に合う項目だけを表示します。
https://open-meteo.com/警報・注意報(暴風・波浪・高潮・大雨・雷など)は予報値から判定できないため、このページでは判定せず公式の発表を確認していただく形をとっています。海へ近づく予定がある日は出発前に必ずご確認ください。
https://www.jma.go.jp/bosai/warning/季節ごとの気温の目安は気象庁が公表する1991〜2020年の平年値(湘南地域)にもとづきます。当日の天候・警報は必ず公式の発表でご確認ください。
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/表示された利用条件に従って使用。撮影者とライセンスは「写真クレジット」に記載。
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Inamuragasaki夕日の時間からアクセス、歴史、周辺の過ごし方まで。目的別のガイドをまとめました。